可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 今日の公務分掌会議は、教務部と進路指導部が合同で、今年度の夏合宿について話し合った。

 俺は当然初参加だが、この学校の名物行事らしい。

 ど田舎の少年自然の家で、1週間生徒と教員が缶詰になって勉強する。近隣には予備校がないこの地域ならでは、だと思う。

 大手予備校へ通うには時間がかかるので、行く生徒は少ない。受験勉強も、本来学校で面倒を見るのが当たり前だとは思うが。


 会議が終わって縄張りへ向かうと、廊下で携帯をいじる安西の姿があった。
 
 随分、余裕あるな。

「隙間の時間に教科書読むのが受験生だろう?」

 どうせまた、小説の更新でもしてたんだろう。

「あ、先生! 遅かったね。何してたんですか?」

「何してたって、そりゃ仕事だよ。さっきまで会議だったんだよ」

「何の会議?」

 準備室の鍵を開けて、安西を先に通す。

「今日の会議はだな、勉強しない受験生をどうしてくれようかっていう内容だ」
< 45 / 282 >

この作品をシェア

pagetop