可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 保護者からの大事な大事な宝物をお預かりしてる身で何やってんだ! と、フィクションなのに腹が立つこともしばしば。

「……よくありますね」

 本人も一応自覚あり、か?

 俺はポケットスマホを取り出して、安西に差し出した。

「ふ~ん、どんなの書いてるか、まず俺に見せてみろ。俺のメアド。これに送っといてくれ」

 赤外線で送信。

「そうそう、ネタになるかも知れないから教えとく。最近は生徒に教員個人のメアドを教えるなっていう学校が増えてきた」

 生徒にとんでもないメール送りつけるバカな輩がいるからな。

「うちの学校は、大丈夫なんですか?」

「うちも、管理職は教えないで欲しいらしいが強制はしてない。部活の生徒とのやり取りとか、やっぱり便利だからな」

 安西が興味津々、という顔で聞いている。

 ネタ集め、そんなに楽しいのか?

「まぁ俺は写真部の顧問だから、あまり生徒と頻繁にやり取りすることはない。しかも全員野郎だから、不適切な関係になる心配もない」

 この学校に赴任して、やっと念願の写真部顧問になれた。やはり進学校は文化系の部活も充実していて大変望ましい。
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