可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 放課後、早速俺の縄張りに現れた安西。

「勉強してたか?」

「まぁ、ぼちぼち」

 お前はぼちぼちしか言えないのか! ならば聞こうか。

「もうかりまっか~?」

「……ぼちぼちでんな」

 判ってるじゃないか。

「安西、大阪商人じゃないんだから、そろそろぼちぼちは卒業しろよ。あと半年で入試だろ」

 俺はため息をついた。

「安西の今までの成績だと、推薦は無理だ。どこでもいいんなら別だけど、部活も生徒会もやってない、資格もないお前がこの成績で推薦してもらえる大学は……」

 冷たく言い放つ。

「バカ田大学だ!」

「……」

「ごめん、すべった。とにかく!そろそろ真面目にやれよ」

 マジでこのままだと『消える大学・Fランク大学』も危ういぞ!

「真面目な話、今からならまだ間に合う。部活の生徒も引退する今ごろからやっと受験勉強に取り掛かるからな。そういう生徒の方が伸びるんだ、これが」

 今まで勉強していなくても、ここぞという時の集中力は、一流選手になるほど凄いと思っている。
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