可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「それじゃあ、帰宅部の私はダメダメってことですか?」

「そういう意味じゃない。安西は元々いい頭持ってんだから、真剣にやればガツンと上がる素質はあるんだぞ」

 安西の今までの行動を見てきたら、高校生としては大変素直だ。

 そして、素直で他人の意見をきちんと受け止められる生徒ほど伸びる。

 しかも今まで大した努力もせずにうちの学校へ入学してきたという点からわかるように、潜在能力は高い。

 できない訳がない。

「そんなことないです。普段の成績見たら判るよ~。まともなのは国語だけだし」

 知っている。

 うちの学校の生徒にしては個性的な成績だ。

「国語は全ての勉強の基本だ。これができる、ということは、他も頑張ればできる。それに、国語は一朝一夕に出来るようになる科目ではない。今までの読書量や文章作成の積み重ねがものを言う。だから、特別に勉強しなくても点が取れてるだろ?」

 安西が驚いている。

 図星、だろ?

 ちょっとやる気を出せばできるはずだ。
< 58 / 282 >

この作品をシェア

pagetop