可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「国語と同じように、政経も好きになれよ。そしたらきっと、伸びるからさ。そうだ、俺の事好きになれば政経の成績も上がる、かもな」

 少しだけからかってみた。

 ……みるみる顔が赤くなる。

 面白い奴。

「冗談だよ。でも、好きな先生の教科なら真面目に勉強するのが、よくあるパターンだろ?」

「まぁ、マンガや小説ではよくあるパターンですよね」

「逆に、先生は好きなのに成績悪くて補習ばっかりっていうのもあるよな」

「すいません、私はそっちのタイプです……」

 こいつ、マジボケか?

「……安西、意味わかって話してるか?」

 そう話したら、ようやくその意味に気付いたらしい。挙動不審になってもじもじしていた。

「あ、いや、成績が悪いってところは私も同じだから」

「ならいいけど」

 だよな。ちょっと安心。

「ところで先生、私、また小説のネタを考え直したんですけど、聞いてくれます?」

 もしかしたら、プリントに書いたあれ、か?
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