可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 ただし……文化系の部活顧問は必ずもう一つ掛け持ちしなきゃならないとかで、漫研まで持たされたのが……仕方がない。

 漫研って、俺にとっては謎だ。

「ついでにもうひとつ。俺達は自分達の仕事を『教師』とはあまり言わない。『教員』が一般的。それから、職業欄には『教諭』と表記する」

「あ、そうなんですか!じゃあ、早速直しておかなきゃ」

 嬉しそうに『メモメモ!』などと騒いでいる。ちょこちょこ手を動かし、大きな目をくりくり動かしている様子が、小動物を連想させた。

「役に立ちそうか?」

「はい、とっても!」

「それは良かった。でも、ちゃんと勉強しないとモデルはしないからな」

 後でこいつの成績と模試の結果を調べておこう。

「……わかりました」

「俺もうちに帰って小説読むから、安西も教科書読んどけよ」

 さて、どんな『問題教師』が出てくるか、楽しみだな。携帯をポケットにしまった。

「それと、俺のメアド、他の女子にバラすなよ。女子は安西に教えたのが初めてだからな」

 漫研の女子には教える必要もないし、それこそネタにでもされたら困る。

 しかし、新学期早々、妙な生徒に捕まってしまった……。
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