可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 この、学校医というのは、普段は学校単位で行われる検診の時にしか学校へ来ることはない。

 そりゃそうだ、自分の病院・または勤務先を休んで検診に来るのだって大変なんだ。この日程調整に、養護教諭は毎回苦労されている。

 それはさておき。

「つまり校医は学校保健安全法によって定められている職で、こっちは医師免許を持っていないとダメ。大抵は学校近くの開業医にお願いする。内科健診とかは、ここのお医者さんに来てもらう。当然ながら非常勤だ。保健室に常駐するなんてことはありえない」

「……そうなんだぁ」

「そもそも架空の職業なんだよ、保健医って。だいたい、養護教諭でもない、医師でもない……いや、保健医っていう位だから医者なのか? もしや医師免許を持ってるなんていうとんでもない設定をしてる訳ないよな!?」

「えっ? 保健医っていう位だから、お医者さんの資格があるんだろうな~って考えてたけど……」

 はああああ~。

 俺は盛大にため息をついた。

「お前、医者になるのがどれだけ大変なのか解るか? 勉強だけじゃない、当然ながら一人前になるのにものすごく金がかかる。これ、個人負担だけじゃないぞ。国が医者をひとり育てるのに、どれだけの補助金を出しているのか想像できるか?」
< 75 / 282 >

この作品をシェア

pagetop