可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「う~ん……高校生で年間80万以上だって教えてくれたでしょ? ということは……大学生だと年間100万位?」

 俺は頭を抱えた。

「桁が違うっ! まあ、計算方法も色々あるから一概には言えないが。聞いて驚け。一人前に働ける医者をひとり育てるために、国は総額で億単位の金を使っている」

「そ、そんなにっ!?」

「そうだ。国民の皆様の血税を投入された医大生は、医学部の6年間と研修医としての2年間、死に物狂いで勉強するんだよ。人の命を預かる、尊い仕事ができるようになるまで、な」

 つまり、だ。

「医師免許を持つ者が、学校の保健室でこんな事をやっているのは、まさに宝の持ち腐れにならないか? 納税者を代表して、とりあえず俺が怒るぞ。もっとちゃんと、お前の腕を生かせる場所で働けよって話だな」

「う~ん、やっぱり、ダメかあ……」

「いや、フィクションとしては面白かったぞ。お前と同じような妄想好きな女子にだったら、ウケるんじゃないのか。まぁ、現実を知る教員が読んだら、別の意味でウケるってことだ」

 一応、これでも軽くフォローを入れたつもりなのだが。
< 76 / 282 >

この作品をシェア

pagetop