可愛い生徒(カノジョ)の育て方
後夜祭。
グランドではしゃぐ生徒を撮影していたら。
「先生~っ! 写真撮って!!」
制服に着替えた安西に声をかけられた。見慣れた制服なら「萌え」ないはず……?
……まだ5割増し位に見えるのは気のせいだ。
「ああ、悪い。フィルムが無くなった。準備室に戻るんだ」
「私もついてく~」
二人並んで、廊下を歩いた。
「先生のカメラ、本格的だよね?デジカメじゃないし、写真屋さんのカメラみたい」
準備室までの道のり、安西がカメラを見て言った。
「先生、写真部の顧問だもんね。写真撮るのって楽しい?」
そう聞かれたところで準備室に着いた。
ドアの鍵を開け、安西を先に通す。
「ねぇ、先生? 私の話、聞こえてる? もしかしたら今日、疲れてる?」
……聞いてる。真面目に聞いてるからこそ、簡単には答えられない。
彼女の視線を逸らすように、準備室の奥にある窓へ進んだ。
窓の外に広がるグランドを見ながら、答えた。
「今日、13回忌なんだ。親父の」