可愛い生徒(カノジョ)の育て方
迷ったけど、別に隠すことでもない。理由を知りたがったから、聞かせるだけだ。

「……ごめんなさい、私、無神経だったね」

「いや、気にすんな。俺の方こそ気を遣わせて悪かった」

 グランドからは、生徒のはしゃぐ声。

 静まりかえる準備室。


「俺の親父、写真屋だったんだ。このカメラは親父の形見。毎年、学校祭の時期と命日がだいたい重なるんだよな」

 安西は黙って聞いている。

「俺が高1の時だった。癌になってからあっという間に、な。姉貴がその時高3で、俺と同じ高校だったんだ。 
学校祭前日、準備していたらすぐ来いって連絡が来てさ。 2人で急いで病院へ行ったら、心臓マッサージされてた。 
俺と姉貴が来るまで、先生が汗だくでマッサージしてたんだ。 
お袋が『もういいです。ありがとうございました』って言って。
先生が手を放してすぐ、心電図がまっすぐになったよ。
あっけないものだな、人の死ってさ」
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