可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「……あと5年と8ヶ月、無事に勤めたら200万返さなくて済む。だから、信用失墜行為なんて絶対にやらかしちゃまずいんだ! お礼奉公みたいなもんだからな。ちなみに、教員は結構この制度使ってるぞ」

 俺がそう言うと、安西はティッシュで鼻をかんでから、大きく頷いた。

「……今の話で、先生のことがちょっぴりわかった気がします。そっか、だからあんなにお金にシビアなんだ」

 また、ネタにするのか?

 まぁいい。メイドさんのお礼だ。

 あんなに大サービスされてしまったからな。

「泣き止んだら、早く後夜祭に戻れよ」と言って、またグランドを見た。

「多分、目も腫れてるし、私もここに残って見てます」

 確かに。このまま戻したら、生徒を泣かせた俺は、確実に悪者にされてしまう。

「仕方ないな」

 窓の右側を空けた。

 隣で涙を拭いている安西が、なかなか可愛い奴だと思えた。

 もちろん、生徒として。
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