胸に刻んで


目を見開いて緑川を見つめる。


ゆっくりと緑川がこちらに顔を向けた。


数秒間、無言のまま見つめ合う私たち。



緑川……今なんて言った?



「俺も、野々山が好きなんだよ」


「そう、なんだ……?」




コクッと小さく頷く緑川に私もそっかそっかと首を縦に振る。


なんて返せばいいんだろ。



巧平も姫ちゃんが好き。
緑川も姫ちゃんが好き。




私は巧平に頑張れって言った。
応援してるよ、って言った。


でもそれは本心じゃない。




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