胸に刻んで
みんなが笑ってる中、私は曖昧に笑みを作ることしかできなかった。
そして、半分こちらに顔を向けている巧平を、笑っているその横顔を、ぼんやりと見つめた。
巧平の中で私はどんな存在なの?
ただの友達?
「松澤もあまり松坂を甘やかすなよ」
先生が私に視線を向けたので、はっとする。
「あ、はい!」
先生の言葉に私は力強く頷いてみせると、前の巧平が「嫌だー」なんて言っていた。
和やかな雰囲気で授業は始まっていった。
黒板に書かれていることをノートに写しながらも意識は目の前にいる人にばかりいってしまう。
どうしよう。
ごめん、巧平。
私やっぱり応援できない。
巧平のこと姫ちゃんにとられたくないよ。
だって私、好きなの。
巧平のことが好きなんだよ。