胸に刻んで


「さっさと告っちゃえばいいのに。
姫ちゃん今彼氏いないらしいよー?」




巧平、かっこいいもんね。
即OKでしょ。


姫ちゃんから視線をはずして私は窓の外を見た。


巧平はまだ姫ちゃんのことをじっと見ている。


そんな顔であの子のこと見ないでよ。


……なんて、言えないけどね。




「んー、夏休みまでには告ると思う」



教室にいるというのに蝉の鳴き声がやけに耳につく。

原因はきっとあの大きな木が教室近くにたってるからだろうな、なんて巧平の声を聞きながらぼんやり思った。


今は7月に入ったばかりで、残り半分学校へ行けば夏休みはやってくる。


夏休みまでには告る、か……


すごく、好きなんだね姫ちゃんのこと…



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