胸に刻んで


「お似合いだよ2人ともっ! 応援してる!」



これっぽっちも思っていないことが口からどんどん出る。


自分でも思うけど、
私って嘘つくの上手いよね。


作り笑いだって余裕ですから。




「サンキュ! 玖実も好きな奴とか見つけたら絶対教えろよー?」


「えー、やだぁー」


「隠し事は許しませんよー」




巧平はくしゃっと鼻にしわを寄せて笑って私の頭を軽く小突いて席を立った。


あぁ、姫ちゃんのところに行くのか。


ぽかんと空いた前の席。


好きな人ならいるよ。
巧平が好きなんだよ私……


こんなに長く一緒にいるのに気づかない?



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