twin∞soul
「それが、当たり前ですよ」
「色々愚痴ばかり言ってごめんなさいね」
「いえ、お幸せそうで一安心です」

よかった、よかった。

「今日も買い物に付き合わしてるの」
主婦は遠くに見えた旦那さんに手招きをしていた。

きっと、かっこよくて優しい人なんだろうな。

私は店頭から出て、主婦の視線の先を見た。

...!...
うそでしょ...。
そこに居たのは、流っ...!?

私の目はバッチリ流を捕らえていた。

「あの背の高いジャージ着たのが主人よ」

流は買い物袋をしょって、こどもを抱いて歩いていた。

「やっぱりジャージ姿が一番、オシャレなんて主人には似合わないわ」

ダサいジャージ姿。
しかも、こどもなんて抱えて、ただのオジサン。

嫌だ...嫌だよ。
何これ、信じられない。
ずっと会えないでいた人に、こんな会い方は惨すぎる。

私はとっさに店の中に引っ込んだ。

「こっち、こっち」

お願いだから呼ばないで!手招きしないで!

心臓が痛い。

「あの、私...ちょっと...ごめんなさい...私 ...」

私は言葉にならなくて、ただ胸を抑えていた。

「こんなとこで、何してる?」

その懐かしい声に足が震えてる。
更にカウンターの下に隠れた。

「あれ、花屋のおねえさん?」
「ごめんなさい、会社から電話掛かってきたんで、ごめんなさい!」

私は隠れたまま主婦に答えた。

「...そう...また来るわね」

もう、ダメ! もう本当にもうダメ!

私はしばらくカウンターの下にいた。

ショックで動けない。
ショック過ぎて涙も出ない。

すると、体温調節ができなくなって身体中が熱くなり痒みが襲ってきた。

腕をめくると、皮膚がイボガエルみたいに赤く蕁麻疹みたいなのが出ていた。

訳が分からなくなり、店長に電話をした。

「どうしたの、笑ちゃん。あなた何だか声の様子がいつもと違うわ」
「店長、私はもう頭がおかしくなりそうです...助けて蕁麻疹が止まらないんです...私、もうダメみたい..」
「今そっちに向かってる最中だから、もう少しだけ頑張って粘って!」
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