twin∞soul
一週間後、花屋の店長さんに全てを打ち明けた。

「笑ちゃん、恋愛は色々な事情が重なり合うものよ。気持ちで動くからね?秘密の彼は、結婚していたこと、嘘付いていたけれど。あなたを愛してるのは、紛れもなく真実よ?今は奥さんに自分の気持ちが家族に向いてない事が明らかになってしまった詫びとして、奥さんの要求通りにしている。けれど彼の本心は彼しか分からないわ。それを、あなたは彼の口から聞かなくてはいけない。まずは、そこからどうしていくかじゃない?」

「...はい...でも、もう二度と会えないと思いますっ…ていうか会ったら殴るかもなぁ...なんてね」

「私も離婚して、不倫も愛人も経験してる。恋愛は色々あるわ。でも純粋な気持ちで彼が好きなら、無理して忘れる事はないわよ。例え家庭があっても、その場のやるせない彼の思いも、彼の全ての思いは笑ちゃんのモノになるのよ?そんな誰にも理解できない深い関係が自分にも有ったっていいじゃない?」

「私はそんな風穴みたいな関係は嫌です。しかも自分以外の誰かと居ると想像しただけでも、みっともないくらい嫉妬しちゃう。何よりも辛いから...できる事なら会いたくない」

「彼の本心は知らなくてもいいの?」

「連絡なんて取りようもないですよ。携帯電話も解約させられて、真っ直ぐ家に帰らさせられて、おまけにいつも三人で居る、どこに入り込める隙があるんですか?」

私は、少し投げやりに言ってしまった。

「でも、温泉は行く今は我慢してって、これから先の事を別れる愛人にメールするかしら?」

ううっ!...うむむっ。

「店長さん、ワガママで申し訳ないのですが、私は本当にもう何もかも捨てなければ、前向きには進めません。もう今月いっぱいで勘弁して下さい、お願いします!」

「とりあえず保留。元気になったら連絡ちょうだい」

身の入らない人間は要らない。
そう言っていた店長さん。
でも必要としてくれてる気持ちに、胸をうたれた。

喫茶店のママにも同じことを言われた。
でも流が来るかも知れないから、残念だけど辞めた。

時夫には一先ず実家で過ごすから、しばらく家を空けるとだけ伝えた。

時夫の件と流の件は別問題。
しかし今は流への辛さで頭の中がパンク状態。

落ち着いたら、時夫に別れると告げる事にする。

私は実家に戻る準備を着々と済ませていた。 もちろん、もう此処へは帰って来ないつもりで。
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