twin∞soul
「きっと次は受かるよ、私が側に居て応援する」

笑との会話がまた浮かぶ。
フッと口元が緩んで一人、俺は笑っていた。
応援だけで、受かるなら勉強する意味がないだろが、バカかアイツは。

きっと受かる...。
でも他人事だからか、根拠もない言葉で、こんなに俺に自信をつけさせるとは。

思い出すと笑えてくる。

頑張るよ、笑。
今度はおまえのせいじゃなくて、おまえのおかげだと言ってやるために。

そう思いながら、試験に向けて勉強をする。
何か集中できるモノがあれば、気も紛れるし。

ただ、最近は仕事以外で外に出ないからか体調を崩したりもしていた。
試験に落ちたら妻はまた、俺に何かを吐き捨てるのだろう。
そう思うと、変にプレッシャーを感じて胃がおかしくなっていた。

ある土曜の日。
近くのスーパーへと買い物に出掛けた。
笑が勤める花屋があるスーパーだ。

土曜の午前中は喫茶店でいつも笑は働いているから、会うはずもない。

笑の一週間のスケジュールも俺はいつの間にか把握していた。

妻は子どもを俺に預けて、どんどん買い込む。
そして、どこかへと姿を消した。

...ハァ~ッ... 溜め息がでる。

「あうぅ~...」
「ったく、どこ行ったんだろな。おまえのママは」
泣きそうになってるから、かなり困る。

「ふぇ~...」
「まいったな。泣くなよ、こんなとこで」

すると、遠くから聞こえてきた妻の声。

「こっち、こっち」

マジ、勘弁してくれって。
何やってんだよ。
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