twin∞soul
「こんなとこで、何してる?」

しかも、花屋の前で。

「あれ、花屋のおねえさん?」

おねえさん?
花屋の中を見ると、明らかにとっさに誰かが隠れた。

まさか...。

「ごめんなさい、会社から電話がかかってきて、本当にごめんなさい!」

その震える声は、笑の声だった。

...知られてしまった。

ついに、こんな形で俺に妻子がいることを。

連絡も途絶えたままで、こんな所を見せてしまった。

「...そう...また来るわね...」

妻の言葉に笑は何も返さずに隠れたままだった。

ごめんな...ごめん笑。
ツラい思いさせてばかりで、本当にごめんな。

帰りの車の中で妻が言った。
「あの花屋の子、彼氏が浮気してるんじゃないかと不安がっていたわ。一緒に居ると、いつも彼の携帯電話がなって、離れた所で彼が会話をするもんだから、気になって仕方ないって」

「...そうか」
俺の事だ。

それもこれも…! おまえが何度も電話してくるからだ! ...と妻を軽く睨み付けた。
そして自分の事で、そんなにまで不安にさせていたのかと正直、へこんだ。

「彼と何かあったのかしら、今日も元気なかった。なのに私に幸せで何よりって言ってくれたわ。あの子も早く彼と幸せになれるといいのに」
「...」

俺は一体、何やってんだ。
今のままで、笑の幸せは見通しはゼロだ。

チクショ...。
腹が立つ、こんな事してる自分に。
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