twin∞soul
「別れろ!理由なんてどんなでもいい...おまえには俺が居るんだから、この先もずっと...だから早く別れろ...」

流はいつもの冷静さがなくなっていて、感情を剥き出しにしていた。

「じゃあ、流は?...流も奥さんと別れてよ...早く別れてよ」

さっきから流は自分の気持ちばかり。
じゃあ私の本心を言ったら、あなたは私の想いに答えてくれるの?

流の動きが止まり、固まってしまった。

「私は今すぐにでも別れられる...流も、こんな中途半端な事してないで今すぐにでも奥さんと別れてよ...!別れてから私に会いに来てよ!愛してるなら、全てを捨ててからにしてよ!」

あなたが独り占めしたい気持ちは、私だって同じなんだよ?

言葉なんて、頭ん中からすぐ消えちゃうから意味ないよ。
態度で、行動で示してよ。

流は、そういう人でしょ。

「俺は...」
ためらい、困っている。
だから私はあなたのその表情で、胸が痛いくなるの。
誰だって傷つきたくない。
私もそうなの。
その先が言えないなら、もう終わりにして。
これ以上、私だけに惨めな思いさせないで。

「無理なんでしょ?分かってるからいいよ」
「笑...俺は...」
「もう、帰ろう?」

私は起き上がり、散らばる服を拾い上げ着替える。

流は茫然としていた。
今そこに居る流は、明らかに以前の彼ではなくなっていた。

「どうしたの?...何か言って?」

ラストチャンス。
これで、流が私に答えをくれなければ二度と会わない。

でも、あなたは私に取ったら特別だから、ずっと好きでいるよ。

「笑とずっと一緒に居たい」
私は笑ってうなずく。
「ありがとう」
「妻とは...別れたいと正直思ってる…」

私は黙って、またうなずく。

「笑が現れる前から、妻に対して自分は流されるまま生きている気がしていた。本心が出せない、出したらいけない...良いとこばかりを無理に見せて生活していた気がする」

「そうなんだ、随分私には性格悪いとこ見せつけてくれてたけどね」

「俺も人の子だから気に入らない時はある。顔や言葉に出したり、それを俺は妻以外には露骨に出していた。だが妻には傷つけたらいけないとか、期待を裏切ったらいけないとか、情けない姿は見せてはいけないとかあってな。でも本当の俺は、おまえの言う通り相当なひねくもんなんだよ」
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