twin∞soul
都合良いこと流も言ったりするんだね。
どうせ無理だよ。
そんなに簡単に夫婦は壊れないよ。
たかが紙切れ一枚でも、恋人同士とは違う。
しかも子どもまでいるのに。

でも、笑顔で頷いておこう。

「うん、分かった」
「俺は笑に浮気心で、決して近付いた訳じゃない。本気でおまえが愛しいって...おまえの隣には俺がふさわしいって...あらゆる意味で心が動かされたんだ。解放してくれたんだ。別に口説いてる訳じゃない、本当にそう思ったんだ…」

「ふさわしいって思ってくれたんだぁ?」

そんなふうに思ってくれる人に巡り会えてよかった。
大好きな流にそんな言葉を言われて、凄く嬉しいよ。

「そうだよ。笑はそんなふうに思わなかったか?」
「私は...」

一番最初に流に会った時に、あなたは凄い目をして私を見ていた。

深い何か、底知れぬ強さで。
それはまるで固めたられた弱さのような。

悲しそうな...。
苦しそうな...。
寂しそうな...。

流は何も言わない。
でも言わないでいることを一番知ってもらいたいから、あんな目をしていたんじゃないかと、私はそう感じていたんだよ。

だから、あなたを知りたいって。

そのうち、あなたは私と会う回数を増やすごとに笑顔がどんどん増えていった。

楽しいんだなって、あなたがそう思って笑っている姿に、私はまた好きになっていっていた。

あなたが毎日笑顔で居られるには、私が側に居なくちゃダメなんだって。

流の隣には私じゃなきゃダメなんだって。

「花火大会の時に仲居が話してたろ?ツインソウルの話。あらがち俺はあれは嘘じゃないって思ってる。離れようとすると、どんどん気持ちが強まり更に側にいなくちゃいけないと思える」

「わっ…私もそう思っていた。本当のところ、凄く凄く離れてる間は苦しかったの…絶対に離れちゃいけない人なんじゃないかって…自分が半分消えてしまったような…」

私は涙が止まらなかった。

会えない間の苦しみを思い出したから。

「…笑…」

でも流は求めてくれる。

ほら、こうやって。
こんなに近くにいるのに、もっと近付きたいと流が私を強く抱き締めてくれる。
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