twin∞soul
私は花屋のバイトを、急遽夕方までにしてもらって、19時頃までアイツの働く○○製作所の前で待っていた。

車だからって見逃さない。

私の裸眼1.5の視力をなめるなよ。

動体視力だっていいんだから。

嫌な奴の顔は絶対、忘れない。

しかし待てども待てども、20時になっても現れない。

まさか、見逃した?

私は待ちくたびれた表情で、門の前の隅っこで座り込む。

「あれ、喫茶店の女の子」

あっ、今朝のアイツと一緒にいたお兄さん。

優しい人には、同じ30代でもお兄さん。

アイツはオッサンでいいでしょ。

「こんばんわ、どうしたの?もしかして流を待ってるの?」

「はい。あの人、ナガレって言う名前なんですか?」

「そうだよ、杉原流(すぎはら ながれ) だけど。もしかして用事?」

杉原流...。

ケッ、変な名前!

「いえ、あの今朝の事で...」

「そうだよね、今朝はごめんね。怒ってるよね。でも、あれが流そのものだから。本当にごめんね」

あれが、そのもの?

あんな凶器的な性格がアイツそのものなの?

じゃあ、全然人間としてダメじゃん。
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