twin∞soul
「もしもし?」

...でたぁ~!

低い声に一瞬ドキッとしつつ、うろたえる。

「あっ、あの...花園 笑ですけど...」

「これが、おまえの番号か」

「そうだよ。何だか流の番号と私の番号、似てるから驚いちゃった...あはは☆」


私いきなり何を言ってるんだろ。

「8ばっかりの番号ね」

「うん、そうそう☆」

相変わらず淡々と話すのね。

私がこんなに、いっぱいイッパイなのも、全然知らないで...。

いや、知られたくないけど。

「流は今、何してるの?」

「笑は?」

「私が質問してるんだから、それに答えてから聞いてよね!」

「帰ってる途中だ...笑は?」

「私も帰ってる途中だよ☆」

へぇ、私と同じくらいの時間帯に、帰る時もあるんだぁ。

「自転車なの?」

「自転車だ...」

車じゃないとこが、また何とも地味にカッコいいじゃないですか。

キャハ!

「会社から家まで何分で着くの?」

「15分くらい...笑は?」

「15分くらい」

同じくらいかぁ。

どうでもいい話ばかりしてる。

けど、流は私の名前を当たり前のように何度も「笑」と呼んでくれる。

だから、またドキドキしてそれが好きってのに変わる。

「もうすぐ着くの?」

「まだ、着かない...笑は?」

「まだ、もう少しかな」

私は交差点の赤信号で、自転車を止める。
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