籠の中の蝶は道化師か
蝶と同じように現れて
同じようには消えてくれない男と、その日、出会った
「君、名前は?」
*
突然現れて、とんでもない事を言われた
白い病院着
色素の薄い髪と瞳
華奢な体つき
そして、病的に白い顔に浮かべる人を食ったような笑み
「あんた……何言って……ていうか!……人の部屋に勝手に」
「君の部屋じゃないでしょ?早苗さんの部屋だ」
笑うような話し方で飄々と言う
ここは母の病室なのに、さも自分がいることが当然というように言った
逆に息子の俺がいることの方がおかしいとでも言いたげだ