籠の中の蝶は道化師か



蝶と同じように現れて


同じようには消えてくれない男と、その日、出会った


「君、名前は?」







突然現れて、とんでもない事を言われた


白い病院着
色素の薄い髪と瞳
華奢な体つき
そして、病的に白い顔に浮かべる人を食ったような笑み


「あんた……何言って……ていうか!……人の部屋に勝手に」

「君の部屋じゃないでしょ?早苗さんの部屋だ」


笑うような話し方で飄々と言う
ここは母の病室なのに、さも自分がいることが当然というように言った


逆に息子の俺がいることの方がおかしいとでも言いたげだ






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