鈴音~生け贄の巫女~
02
さて何が起こったものか、全くもってわからぬのは凛のほうだ。
ドロンと煙に驚き長めの瞬きを一つ、気付けば暗い暗い夜中の森の中。
「そうキョロキョロと不安そうにするな。俺はここにいる、ほっぽりだそうってんじゃねぇんだからシャキッとしてろや。うっとおしい……」
心の声までもこぼれてしまってるような、……というよりかは隠そうともしていない。
少しばかりむっとして見上げるに、五木の顔からは何も読み取ることはできない。暫く見ていれば、ふと五木の方からこちらを向いてくれた。
ばちりと目が合えばまた数秒、お互い何も言うまでもなくしかし緊張感溢れてじっと見つめ合う。
その数秒は、あまり心地の良い時間ではなかった。
「………五木さん?」
「なんだよ?」
恐る恐る声をかけて見れば、五木はまたふいと視線を外し遠くにやった。
「ここはどこでしょう?一体何があって、私はあんなところにいたんですか?そうだ、シンさん。シンさんは、どこにいるんですか?それから……」
「あぁ、まて、まて」
「………なんですか?」