鈴音~生け贄の巫女~
さても自分の部屋に向かう途中、目的地に近付くにつれ騒がしくなっていく事に気が付いた凛は戸惑ったように隣を歩くシンを見上げ。
なんてことはないとでも言うように凛を見下ろしたシンは廊下の突き当たりを曲がり、その部屋のある方を見た。
次いで曲がった凛は、その先に見えた光景にぱちりと睫毛を震わせるに。
「おい、居なくなったってどういうことだよ……!何故見張りをつけていなかったんだ、今巫女が居なくなったら大変だろうが!」
「知らねえよ、こんなの今回が初めてだ―――……いや、そんなことよりシンはどうした」
「そうだ、シンは!いつも巫女の面倒はアイツが見ているだろう、見張り云々って話じゃあねぇだろ」
耳を疑うような言葉少々。
部屋の付近にて慌てふためく大の大人数名を見てぽかんと口を開けた凛は、隣にいるシンを見やる事さえ忘れその光景を見るに。
対するシンは動じず、ただそれを見る。
そんな二人の存在に、はたと気付いた大人達はわかりやすくも「やばい」と言うような顔をした。