鈴音~生け贄の巫女~
温かい声に、やはり涙は止めどなく溢れてくる。
ここに来てからこの方、自分はどれだけ泣けば気がすむのかと、いつまでも現状を理解せずに混乱してばかりいる自分を嘲笑う。
「どうか、詳しいお話を聞かせていただきたいのです。私はまだ、自分の現状を理解しきれていなくて」
「えぇ、えぇ、そうでございましょうとも。しかして御無理をなさらず、少しずつ語らせていただきたくば、まずは凛殿にごゆるりと休んで頂きたく思いますれば」
「……お気遣い、ありがとうございます」
凛の手をぎゅと握った老人の手は、一層強く力を込めてはそろりそろりと静かに下ろされるに。
触れる肌の熱が無くなればそれをいと恋しく思い、ぴくりと手が動いた。
それを見咎めたか否か、隣でただやり取りを見守っていただけのシンはそっと凛の肩を抱き寄せ。