鈴音~生け贄の巫女~
「落ち着かせてやりたい。部屋から出ていってはもらえないか」
きっと、その言葉は凛を思うてからこそのものであるに群がっていた村人は一つ頷きがやりと騒ぎ立てつつ一人また一人と部屋から立ち去っていく。
「シン、お前は相も変わらず歯に衣着せぬもの言いよ、そのおなご相手にはもうちと優しく振る舞い言葉をかけてやれ」
「余計なお世話だ」
去り際、長老はお節介な言葉をシンに残し。
それに眉一つ動かさず返したシンに、これまたほっほと朗らかに笑っては退室をする。
「衣を着せまくるあんたらよりか幾分ましだ」
故に、シンが吐き捨てたその言葉も届くまいて。
唯一それを聞けた凛は、はてなんのお話かしらと首を傾げるだけに止まれば、その真意を知るもの等いない。
さてもまあ未だに瞬きするたびぼろぼろと落ちる雫、そろそろ止めねばなるまいと唇を引き結ぶも止めるに叶わず、終いには何故かヒートアップして嗚咽まででてくる。