鈴音~生け贄の巫女~
「あ、れ、おかし、っ、……とまらない、」
泣き止みたいのに上手くいかぬ、もどかしさと恥ずかしさでシンから距離を取ろうと自分を引き寄せる腕からするりと抜けて。
「すいませ、なんで、だろ、……っ」
一歩、二歩、その場から後ろに足をひいては行けば、不意に強い力で腕湯引き寄せられて。
ぽんと肩が軽く叩かれる感触、同時にかくんと膝から力が抜けてしまえばいとも簡単にぺたり床に尻をつく。
見上げた銀髪は凛の前に跪き、視線を合わせるに一度その表情を伺うように間をおいた。
これはなんと不器用なものだろうかと、ため息を吐きたくなるも胸の内に止め。
しかしていきなりつれてこられた場所にて心情を全て吐き出せ等と言っても無理な事である。
やれ厄介なことだと頭を働かす本人は気付いていまい。
その表情は、凛をいたわるかのように優しく温かく。
それを目の前にした凛は、暫し唖然とするも。