鈴音~生け贄の巫女~


「――――――……………っ」


溢れさせる。みっともないほどに。


「かえり、たい………っ」


そして、すがる。

シンの腕に、肩に。


「お母さん、お父さん……っ」


もう、どうすれば良いのかわからない。

その心情をこそ表したそれに、シンはただか弱く震える肩をそっと抱く。


「不自由はさせない。傍には俺がいよう。いいか」


「……っ、」


微かに動いた頭は、肯定であると受け取ろう。

しかし、シンからそれ以上の事は言えずして。


「これから、あの村人達から巫女にならぬかと話が来るだろう。今は乗っておけ」


そう、助言を出すに止まったのだった。



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