鈴音~生け贄の巫女~
01
村は、完全に自作農により成り立つ食生活だった
。故に、出されるもの全ては村人の手によりつくられるものであり、丹精込めて作っているのだと。
それ故に美味しいのだと、屋敷にいるお女中さんに言われてしまっては、凜は働く他なかった。
もとより、働かざる者食うべからず、ということわざがあるくらいである。
となれば、凜は今、畑仕事を手伝っているところだった。
しかして、これがまた思うたよりも難しく負担の大きいものだと、一度作業を止めて腰をさすれば。
大丈夫かい、といかにも温厚そうなおばさん――……妙(たえ)から声をかけられてしまって、凜は慌てた。
「だ、大丈夫です。それより、すみますん」
「おや、何がだい?」
「その、私、自分から手伝うって言ったくせに、全然お役に立てていません」
鍬は重くて持ち上げられず。
肥料も重くて持ち上げられない。
そして極めつけは、鎌の持ち方が危なっかしいと言う理由で雑草苅りさえも出来ずに。