鈴音~生け贄の巫女~
その様子に申し訳ないと思いつつも笑ってしまった凜は、小さく首を振る。
「いえ。それより、シンさんはもうお仕事終わりですか?」
「ああ、俺の分はな。時間よりも速く終わった。……手伝おう、貸せ」
半ば奪い取るように、凜の持つ種の入った籠を持てば。
パラリパラリと種を土に埋め始めるのだ。
ふと、凜が妙の方を見てみれば。
上機嫌に自分の仕事へと戻っていて、なんとなし自分のことでもあるまいに誇らしい気分になり。
種を撒きつつ広大な畑の土地を進むシンに、邪魔にならぬようついていく。
「慣れていらっしゃるんですね。私、全然上手くいかなくて」
「長年続けているからな。お前は、不器用な訳ではあるまい。時期慣れる。そうすれば、作業だってはやくなるだろう」
「そうですか?」
「そうだ」