鈴音~生け贄の巫女~
掛けられた言葉の柔らかいこと、柔らかいこと。
凛はシンを見上げ。
「ここら辺の道は特に荒れる。女子供には辛いだろう」
「は、はい」
それと、この差し出された手とは一体どんな意味合いがあるというのだろうか。
シンからしてみれば、勿論凛をリードしてあげるために差し出した手であるに。
しかして言葉の足りぬその行動の真意は、凛に伝わってはくれなかったようだ。
こてんと頭を横に傾けてシンを見上げては、続く言葉を待つべきか、それとも己から何か言うべきなのか。
一瞬思案してから、凛は口を開いた。
「あの、遅かったですか?その、シンさんのペースについていけなくて、ええと………その……」
そのため息が上がり、些かの距離が空いてしまっていたわけではあるが。
それでも、シンが時々後ろを振り返ってはペースを遅めてくれていたのは知っている。