鈴音~生け贄の巫女~
「軽いって、な、なんでそんなこと知って…、…」
「気を失ったお前を抱えてここに連れてきたのは俺だ。別に辛くはなかった」
「……!……!!」
抗議の声もあげられない。
恥ずかしさから涙目になった凜は、自分の頬を抑えて後退る。
「凜」
急かすように紡がれる名前にさえ、びくんと肩を揺らして。
「う、うぅ……」
ゆるゆると首をふれば、何か軽い衝撃を膝の裏辺りに感じた。
途端、カクンと膝を折って地に手をつこうと言うところ、目の前に待機していたシンの背中に上手く納まってしまって。
何が起こったのかと目を白黒させるうち、シンにおんぶされてしまう。
「え……え?」
思ったよりも、その背中は固く広く、温かく感じて。
このままでは不安定な体制であると言うのに、何処に手を置けばいいのやらわからずに視線をさ迷わせていれば。
「わーい、成功!膝カックン!」
シンと、それにおぶられた凜の後ろから聞こえてくる幼い声。
シンが振り返れば、その姿は凜にも見えるようになる。