鈴音~生け贄の巫女~
「よくやった、太一」
「へへっ。上手くやったろ?な、そのねーちゃんシンにーちゃんのイイヒト?」
「なっ!?」
そこには、10歳にも満たない少年が一人。
シンと凜を見上げ、へへっと鼻の下を擦る。
「イイヒト?否、大事な人だ」
「えっ」
「うわ、シンにーちゃん大胆!流石、俺がにーちゃんって認めるだけあるわー」
にやにやと見てくる少年の視線に耐えられなくなったか、シンの大きな背中に顔を埋めるようにして隠れ。
凜は、小さなうめき声のようなものを漏らした。
「んで、シンにーちゃんはいまから八光神社に行くの?もう皆集まってると思うけどー……あ、そのねーちゃんも?」
「嗚呼、そうだ」
「へえ、こりゃ驚いた。本当に大事にするつもりなんだ、なんかヘンなの」
「なにがだ?」