鈴音~生け贄の巫女~
その瞳には憎悪が色濃く残り、隣にいる金髪の男――……神威はぞっとしてその横顔を見る。
「しかし、五木(いつき)。やり方は選ばねば……」
「黙れ。俺に指図をするつもりか?いつからお前はそんなに偉くなったよ、なあ?」
「うっ!?」
ギリ、と腕に力を込められて。
首に走った痛みにうめき声を漏らせば、五木はまたもクツリと笑うのだ。
「許せないんだよ。あいつも、簡単に村人を信じる生け贄も、そもそもの話、こんな風習の残るクソみてぇな村も……!」
表情は、まるで憎悪の反映されぬかのように笑っていた。
例えるならば、いたぶり遊ぶことが楽しくて仕方がないといったような、悪役のように。
けれども、その表情を至近距離で見ている神威は知っている。