鈴音~生け贄の巫女~


まだそんなことを聞ける間柄ではないと線引きをしてしまったのだ。


「今の光景のままにございますれば、どれ凛様。火花が此方に向けられとばっちりを食らう前に場所を変えることに致しましょう」


「え、でも」


二人を置いていって良いのかと、促す百夜に目で訴えかけ。


「凛様そっちのけで喧嘩をしているのはあの二人ですよ。何を気にする事がありましょうや、ささ」


ニコニコと人懐っこそうな笑みを浮かべ、凛の手を引き廊下に上げる。

戸惑うように百夜を見上げた凛は、なにやら何処からか視線を感じたような気がして身震いをした。


「――……?」


「如何しました、凛様」


「いえ、何も……」


そう、身震いをしてしまうほどに冷たく、射抜くようなそれ。


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