鈴音~生け贄の巫女~
05
――………チリン。
――――――…………チリン。
どこか遠く、小さな小さな鈴の音が聞こえた気がする。
チリン。
透明で、とても芯のある音。
それに導かれるようにして、凛は意識だけを浮上させた。
ただし、視界は暗く体は拘束されている。
冷たく固い床の上に無造作に転がされているようだった。
体が痛い。
ここはどこだろう、なにがあったんだろう。
前者はわからず、後者にかんしてはぼんやりと記憶が戻ってきた。
と、なれば、今自分は拐われてどこか知らぬ場所に監禁されているのだろうか――…、そんな考えに捕らわれては恐怖に体が震える事を止められぬ。
しかして、何故か死への恐怖はわかなかった。
捕らわれた瞬間、喉に爪をたてられた瞬間、息もできぬほどに怯えた死への道は、今や見えることも聞こえることもない。