鈴音~生け贄の巫女~
ただ、チリンと。
優しく微かな鈴音が何処かで鳴るのを、時々とらえてはトクンと心臓が動くのを感じる。
さすれば、何故だか「大丈夫、きっと大丈夫」と思えてくる。
「やあやあ、オヒメサマ。お目覚め?」
不意に、頭の上から声がした。
いつの間にいたのやら、いかんせん目隠しされた状態である凛にわかるはずもなし。
「目ぇ隠しちゃってるから良くわかんねぇなあ……ねぇ、ちょっと動いてよ」
ほら、と腹の上に思い何か――……足が乗せられる感覚があった。
突然の衝撃に備えている訳もなし、うっと声を貰えば上がる笑い声。
「あっはは、生きてた生きてた。起きてるかどうか以前に生きてるかさえもわかんなかったしなあ、あー良かった」
くつくつと、まだ笑いは冷めきらぬようで。
言葉の端々に不穏なものを聞き取りつつ、足をどかされれば、重みが無くなり凛は些か安堵した。