鈴音~生け贄の巫女~
「り、」
―――……………チリン。
またどこかで、鈴が鳴った。
「ん、」
間を置いたものの、名を名乗ることができたのだ。
「リン、っつぅの?お前」
「は、い。凛です。東条凛。あの、私も、質問、………いいですか」
「別に」
案外すんなりとオーケーを出してくれたことに、暫し凛は言葉をなくす。
もう少し、嫌だとか面倒くさいだとか、そんな優しくない言葉が帰ってくるものだと思っていたが故に。
「名前、聞いても良いですか」
「は?」
「です、から。……名前、を……」
そう口では訴えるものの、どうしてこんな言葉が出てきたのかは凛自身わかっていなかろう。
なぜならその証拠に、凛はひどくきょとんとした顔をしていたから。
「よりにもよって名前?お前、馬鹿なんじゃない?こう、もっとないのかなあ。どうしてこんなところにいるのかとか、ここはどことかさあ――……」