鈴音~生け贄の巫女~
「あー……、あのシンの隣にいても平然としてるからさあ、どんな奴かと思って話していればとんだ変わり者じゃねぇか、お前?」
「そんな、ことありません!普通、です、私は!」
必死に訴える内容のなんと信憑性のないことか。
「あー、ハイハイ。で、なんだっけ」
「名前、です」
しまいにはふて腐れて、ぷいと顔を背けながら言うのだから。
度胸が座っていると言うのかなんと言うか、とても先ほどまで震えていた女子と同一人物であるとは思えない。
可笑しな奴であると笑ったままに、ガリリと頭を掻いた男。
「五木だよ、五木。ほんっと、お前変っつーか馬鹿っつーか。いつか余計なこと言ってコロッと殺されちゃいそうだよ」
「余計なお世話です」
「オイオイ――……」
ぽすん、と凛の頭の上に重みが乗った。