鈴音~生け贄の巫女~
「嗚呼。…………人間、臭い」
「まぁそう言うなや。人間なんだから仕方ねぇ」
「ここに来て何日だ?以前見たときはこんなではなかったはずだ」
「いーや、前よかましになったろ。つか、前は距離があったんだぜ、そんときと比べんなって」
「…………、」
神威と言う名前らしいことくらいしかわからない。
人間臭い、だなんて、相手もなんじゃないかと凛は首をひねった。
さすればタイミング良く、実にタイミング良く、目隠しがするりと解かれたのだ。
急に入ってくるであろう光に備えてぎゅっと目をつむる――………までもない、辺りは真っ暗だ。
どこまでも、どこまでも真っ暗で、目の前には茶髪の――……嗚呼"五木"とはこんな容姿だったのかと、やけに鮮明に頭に刻むことができた。