鈴音~生け贄の巫女~
おまけにチ、と短い舌打ちをして。
凛は、そんな五木に向けて何かを言おうと口を開く。
もし、両手が縛られず空いていて、自由だったならば。
五木の背中へと伸ばし、優しく撫でてあげたいとさえ思うほどに、纏う雰囲気は物悲しげだった。
しかして、それはできぬ故にせめて物を言おうと喉を震わせようとして――…………止めた。
チリン。
鈴の音が、今までよりも近い。
五木の纏う雰囲気が変わる。
神威が、バッとこちら側に走り出した。
―――………チリン。
チリン、……………チリン!
「………っ凛………!!!!」
暗闇に、一気に入り込んできた光。
その中にみえた輪郭は、……シンのものであると。
凛は目を細めながら確信する。