鈴音~生け贄の巫女~
「無事か、凛!声を、……!」
普段からは想像出来ないくらいに慌てた声。
辛そうに息をするのが言葉の端々で聞こえて、私の為に走ってくれていたのかと胸が暖かくなる。
そして、安堵した。
安堵するあまりに、涙さえもでそうになった。
「シン、シンさん、私――………ッ!!!?!?」
ありったけの声を張り上げて、その言葉に返事をしようとする。
その時、首もとに衝撃を感じて言葉を止めた。
「黙れ」
――……神威だ。
「声を出すな、もし出そうものならば今すぐにこの細い首をへし折ってやろう。簡単なことだ、嘘を言っていると思うなよ」
「――……ッ、」
雰囲気で、言葉に含まれた棘で、それが本当のことであることは知れた。
ブツリと、後ろで縛られていた手の縄が切られる。