鈴音~生け贄の巫女~


シンがキッと五木を睨み、それを見た神威が鼻で笑う。


「……状況をわかっているか、シン?口の聞き方に気を付けろ。先ほど言った通りだ、俺達はこいつを如何様にもできる」


「……ッ」


「よせよ、神威。かわいそうだろ、ほら、シンを見ろよ。困っちゃって言葉も出ないって感じ。あーあ」


ギリ、と凛の首に回された腕に力がこもる。

痛くて苦しくて、けれども声を出すことも少量の息を出すことも出来ずに、凛はグッと堪えた。


この状況下において、凛ができることはない。


そして、助けに来たシンさえも凛を人質にとられてしまっては――………と、その時だった。


「凛様ッッ!!」


「ご無事であられるか!」


狭い入り口に立つシンがいきなり姿勢を低くする。



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