鈴音~生け贄の巫女~


そのタイミングに合わせたように、勢い良く部屋へと入り込んできたのは千夜と百夜だった。


シンの頭上を飛び越え(千夜は意地悪くもシンの背中を踏み台にしていただろうか)、驚く五木と神威が何かをする前に凛を奪い取る。

そうしてまた距離を取るまでに、そう時間はかからなかった。


それらはあまりに唐突で早く、またコンビネーションの良さも相まってか五木と神威が捕らえた凛を盾に逃げることも出来ぬ程である。


「二人、とも……げほっ、ゴホ、ッ」


「大丈夫ですか、凛様。どうか落ち着きくださいませ、我等三人が集まりましたからにはもう安心にございましょう」


ともあれ、一番驚いていたのは凛であると言えようか。


直前まで苦しさに耐えて息を止めていたために、いきなり入ってきた空気に咳き込み。



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