鈴音~生け贄の巫女~
「嗚呼、……畜生、」
己を取り戻す為に首を緩く振った。
そうして、次の瞬間に――――…………五木と神威は、フワリと白い煙りに巻かれてから雲のように姿を消す。
それはとても軽く、けれども後にとても印象深く残るものだった。
そうして、部屋には凜とシン、千夜百夜だけが残るに。
「あ、……」
「凜……っ!」
「凜様っ!?」
「大丈夫ですか!?」
安心したせいか、凜はストンと座り込んでしまった。
頭の中をぐるぐると行き交うは先程まて起きていた出来事全てであるに、それらは途中まで再生されてからごちゃりと絡まり中断される。
混乱。
何から理解し何処まで自分はわかっているのか、それさえもわからずに凜はシンを見る。
その視線を受けたシンはそっと目を伏せる一瞬の間の後に、わざわざしゃがんでから凜の頬へと手を伸ばした。