鈴音~生け贄の巫女~
「……百夜!?お前、なにを……」
「お前………」
「兄様、どうか静まりくださいませ。嗚呼シン、そう睨むな。――……そも、凜様は狙われているのだぞ。そしてそれを止めきれなかったのは誰か。凜様を取り返すのに手一杯で犯人を捕まえる事が出来なかったのは誰か。ほれ、こうするしかあるまいて」
「……全ては俺のせい、ということか」
「そう」
わかっていらっしゃる。
そう、笑んだ百夜の顔が千夜よりも冷たいものに見えてぞっとする。
確かに、凜が狙われているとわかった以上、そしてその犯人を捕まえる事が出来なかった以上、凜をどこか個室に閉じ込めて警護する事が一番手っ取り早く安全であることはその場にいる全ての者が理解できた。
しかし、閉じ込めるということそのものに素直に頷けぬのは致し方あるまい。