鈴音~生け贄の巫女~
「シンさん?どう、したのですか?」
鈴の音のように柔らかな、細い声がぼうっとしていたシンの意識をそちらに向けさせる。
息を吸い、飲むと同時に凜を見たシンは、すぐに口を閉じてしまって。
どうしたのだろうと、布団の中で不思議そうな顔をする凜の表情はいつもと同じような柔らかさが浮かび、疲労の色も割りと見えなくなっていた。
「良く、眠れたか」
「はい。心配をおかけしてしまって、本当にごめんなさい。百夜さんも千夜さんもよく面倒を見てくださって」
ほろ、と何かが綻ぶような音が聞こえそうに、穏やかな笑みを見せる凜は嘘はつくまい。
つられて笑めば、なんとなし気付く。
柔らかく綻んだのはきっと、己の固く閉ざされた心のどこら辺かであると。