鈴音~生け贄の巫女~
つまるように言葉が止められて、そして溢れんとする感情を逃がすように吐かれた息が唇に当たる。
は、と熱く。
もどかしく、切なく感じた。
「そんな、こと、言わないでください……」
いつも、シンが自分の為に気をはってくれていることは知っていた。
気遣いばかりをさせて、逆に気を遣おうとしたら拐われた。
これは、自分の不注意のせいであると凜は良く良く自覚している。
だからこそ、シンにこうして責任感の強さに比例した大きな無力感を味会わせてしまったことに酷く後悔した。
「いつも、いつも、頑張ってくれて。シンさんは、私なんかの為に……っ」
「なんか、じゃない」
「ううん。私"なんか"。シンさんに言葉でお礼を言うしかなくて、……それしか出来なく、て、……」